釜石の奇跡 2011:09:06:07:32:52
3,11の東日本大震災の時、釜石市の小・中学生のほとんどが生き残りました。そのことは教育の成果として、「釜石の奇跡」として話題となっています。片田敏孝群馬大学教授が行った防災教育です。要約するとハザードマップを信じるな。自分は自分で守れ。津波の時はとにかく逃げる。
基本となったのは、、三陸地方に伝わる「津波てんでんこ」と言う言い伝えだそうです。地震があったら、家族のことさえ気にせず、てんでばらばらに、自分の命を守るために1人ですぐ避難し、一家全滅・共倒れを防げという教訓でした。
阪神大震災でも、「自助・共助・公助」の割合は7:2:1だったそうです。自分の身は自分で守る・自分の命の大切さを理解するという事が基本だという事を説いています。
釜石の奇跡
■釜石市の情報
(2010年時)
人口:39,578人・世帯数:16,095人
(震災被害:4/25現在)
死者数:714人・行方不明者数:978人 合計:1,692人
建物被害(全壊数+半壊数):3,723件
■小中学生の死者・行方不明者数
合計:5人
病気で学校を休んでいた子を含めて、5人を除いてほとんどの小中学生が生き残ったのだ。
小学生1927人、中学生999人、生存率は99.8%。
釜石市街の港近くにある釜石小学校では、地震発生の瞬間はほとんどの児童が学校外にいたが、ここでも児童全員が津波から生き残った。
一体、釜石で何が起こったのか。
小中学生の生存率99.8%は奇跡じゃない
「想定外」を生き抜く力 (片田敏孝)
防災教育の総仕上げとして子どもや親に教えたことは、端的に言うと「ハザードマップを信じるな」ということだ。ハザードマップには、最新の科学の知見を反映させた津波到達地点や、安全な場所が記されているが、これはあくまでシナリオにすぎない。最後は、自分で状況を判断し、行動することの大切さを伝えたかった。そうは言っても、子どもたちには不安が残る。だから、どんな津波が来ても助かる方法があると伝えた。それが逃げることだ。
もう一つは、自分の命に責任を持つことだ。三陸地方には、「津波てんでんこ」という昔話が伝えられている。地震があったら、家族のことさえ気にせず、てんでばらばらに、自分の命を守るために1人ですぐ避難し、一家全滅・共倒れを防げという教訓である。私はそこから一歩踏み込み、子どもに対しては「これだけ訓練・準備をしたので、自分は絶対に逃げると親に伝えなさい」と話した。親に対しては子どもの心配をするなと言っても無理なので、むしろ、「子どもを信頼して、まずは逃げてほしい」と伝えた。
どれだけハードを整備しても、その想定を超える災害は起きうる。最後に頼れるのは、一人ひとりが持つ社会対応力であり、それは教育によって高めることができる。私は、今回の震災で命を落とした少女たちの声に耳を傾け、防災教育の広がりに微力を尽くしていきたいと、あらためて思いを強くしている。
1.想定にとらわれるな。
2.自分だけでなく小学生や高齢者も連れて逃げる。
3.どんどんみんなで逃げることで、周りの人にも注意を喚起する。
(「この記事は、月刊「WEDGE」最新号の特集 「『想定外』を生き抜く力」片田敏孝 群馬大学教授より転載したものです)
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