モビケーション 2011:05:21:08:06:47

2011年5月21日

 今週のNHK クローズアップ現代で、「職業訓練で雇用を生み出せ」という番組を見ました。高福祉・高負担の国デンマークの話でした。何年か前、デンマークに視察に行きました。印象に残っているのは、福祉が発達しているので、国民の貯蓄は0だそうです。また、大学まで教育費が無料なので、学生には国内のどのバスにも無料で乗れるパスが配られ、学生を続けている限り国内中を無料で旅行できるので大学を卒業しない学生が沢山出ているという事でした。
 今回のモビケーションにしても、失業手当をもらい続ける人が増えたため国としての政策でできた制度です。

 消費税は25%で、国民の平均年収は税込みで430万円で豊かな国にしては意外に少ないという感じです。この国では常に中道左派が政権をとり福祉に重点を置いた政策を推進して来ました。貧富の格差の少ない高福祉高負担の福祉国家を実現してきました。所得税は50%に及び国民は重税感を持っていますが、負担には思っていないようです。九年間の義務教育制度や老齢年金制度、医療保証制度が充実しているので将来に対する不安感は抱いていないといわれています。因みに65歳から手取りで8万?9万円の国民年金が受給でき家賃の補助制度があるので贅沢しなければ健康で文化的な生活は保証されているということでです。

    税金.png

 日本政府もばらまき政策をするのなら、現在の資本主義の競争社会から、高福祉高負担の国に舵を切るという議論をしっかりとやらなければいけない状況が来ていると思います。

 話がそれましたが、デンマークでは、風力発電など環境分野の産業が経済を引っ張り安定的な雇用をもたしています。それは国をあげた職業訓練の成果と言われています。
 それはモビケーションというこれまでにない考え方で成長産業を生みだしました。実際の職業訓練プログラムを作っているのは各地域にある職業訓練校だそうです。

[モビケーション]
 デンマークでは国・企業・労組が一体となって失業者を訓練(education)し、環境分野などの成長産業 に移動(mobility)させる“モビケーション”という戦略が、産業の新陳代謝を活発にして います。

 デンマークでは風力発電が電力供給の20%を占めています。デンマーク政府は2020年までにこの20%を40%以上にする方針です。デンマークはEU平均の1.6倍という電気代が高い国ですが、国民が自宅で風力発電を行って余剰分を売るなどもしています。

 国民のエコ発電への意識は非常に高くなってきてデンマークのエネルギー自給率は中東戦争などの影響で1972年にわずか2%に落ち込見ました。このため石油の国外依存を見直し、2009年にはエネルギー自給率は100%を超えて124%に達しました。これは1985年に原子力発電計画を放棄し、風力発電やバイオガス(家畜のふん尿や有機廃棄物を原料とする燃料)などの自然エネルギー生産と北海油田の開発に取り組んで実現しました。風力発電でのエネルギー自給率は現在21%で、議会はこれを2020年までに50%に引き上げる決議をしています。日本の再生可能エネルギーは4.7%と低い状況です。

     (『消費税25%で世界一幸せな国デンマークの暮らし』から引用)

 職業訓練というと、私は工業高校の教員をやっていました。その時感じたことは、時代に合わせた設備投資は県の予算では到底出来ません。就職の話をするとき企業は、「基礎だけしっかりとお願いします。元気ではきはきとものが言える子供をお願いします。入社してからしっかりと鍛えますから」という事でした。しかし、企業にも社員教育をする余裕がなくなり即戦力が必要になって来ています。日本にも職業訓練校はそれぞれあります。デンマークのような政策はとても大事ですが、国としてどのような政策をとっていくか、しっかりした議論をし、早く取り組まなければいけないのではないでしょうか。

               (インターネット記事参照)



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