米国 臨界前核実験 2010:10:16:07:29:53
米政府が9月、核爆発を伴わない臨界前核実験を西部ネバダ州で実施していたことが12日分かりました。ブッシュ政権下の2006年8月の前回実施から約4年ぶりで通算24回目だが「核兵器なき世界」の追求を掲げるオバマ政権下では初めてです。広島市は次の様な抗議文を送付しました。
抗 議 文
貴国は9月15日にネバダ州の核実験場で24回目の臨界前核実験を実施した。
被爆者を始め核兵器廃絶を願う世界の多数派市民は、昨年4月のプラハ演説以降、一貫して核兵器のない世界の実現を目指し世界をリードしてきたオバマ大統領の努力に大きな期待を寄せてきた。また、ルース大使が今年の広島での平和記念式典に初めて公式に参列するなど、貴国は広島市民の願いを十分に理解しているはずである。
NPT再検討会議において、核保有国を含む全ての加盟国が核兵器廃絶に向け行動を開始することに合意し、その実現に向けリーダーとなるべき貴国が臨界前核実験を実施したことは、被爆者を始め核兵器廃絶を求める世界の多数派市民の期待や願いを踏み躙るものであり、激しい憤りを覚える。被爆地ヒロシマを代表して厳重に抗議する。
臨界前核実験は新たな核兵器の開発にも繋がる行為であり、大統領自身が批准を目指す包括的核実験禁止条約(CTBT)の精神に反するものである。
核兵器のない世界の実現を目指すリーダーたるべき貴国には臨界前核実験を含め核実験及び核開発に繋がる全ての行為を行わないよう強く要請する。その上で、大統領には、早期に平和記念資料館や原爆死没者慰霊碑など被爆の記憶が残る被爆地を訪れ、被爆の実相に触れ、報復よりも和解を選んだ被爆者の体験や願いを共有し、一日も早い核兵器廃絶の実現に向けて努力することを強く求める。
2010年10月13日 広島市長 秋葉 忠利
強い怒りを覚えると同時にやっぱりかと言う気持ちを持ちました。秋葉市長が「オバマジョリティー」などと浮かれて唱えていますが、米国は強大で傲慢な国です。しかし、日本はその米国とうまく付き合っていかなければ立ち行かないのが現実だと思います。広島平和研究所の浅井基文所長が次の様に分析しています。また、長崎新聞が秋葉市長の浮かれぶりを、ひにくたっぷりに掲載していました。2020核兵器廃絶のお祝いとしてのオリンピックを言っている場合ではないと思います。自分の思いだけ部下に強いて行動するより、もっと足元を見て広島を考えて欲しいと思います。
広島平和研究所・浅井基文所長は、アメリカの狙いについて、核抑止力による核政策の継続にあると分析した上で、「プラハ演説の中で、核兵器がある限りは有効な核兵器を維持するとはっきりと言っている。要するに私たちが勝手に裏切られたと思っているが、オバマ大統領にしてみれば『一貫してます』ということ。幻想で物事を考えるのはやめようという、警告だと受け止めるべき」と述べた
(10月14日NNNニュース)
オバマ熱烈支持に冷や水 米臨界前核実験で(10/13 19:15)
米国の臨界前核実験実施が判明した13日、広島市の秋葉忠利市長は「被爆者や核兵器廃絶を求める世界の市民の願いを踏みにじるもので、激しい憤りを覚える」と抗議した。「核なき世界」を掲げたオバマ米大統領を熱烈に支持し、大統領の名前を冠したキャンペーンまで展開していただけに、思わぬ冷や水を浴びせられた格好だ。
大統領による昨年4月のプラハ演説を受け、市長は大統領の構想に賛同する「多数派(マジョリティー)市民」を指す造語「オバマジョリティー」を提唱。記念Tシャツや公式ポスター、さらには「オバマジョリティー音頭」まで登場した。
「投下国にこびている」など被爆者から批判も上がる中、市長は昨年の平和記念式典の「平和宣言」でも同語を用いた上、大統領が多用した「Yes,we can(絶対にできる)」と英語で呼び掛けた。
抗議文で市長は米国を強く非難する一方、今年の平和記念式典に駐日大使が初参列したことを挙げ「米国は広島市民の願いを理解しているはずだ」と大統領の被爆地訪問を重ねて求めた。
(10月13日 長崎新聞)
コメントをどうぞ