湿潤療法 2010:08:07:07:01:01
先日テレビで傷に対する治療法が根本的に変わってきていると言う番組を見ました。その治療法は【湿潤療法】と言うのだそうです。
やけど・擦過傷・切り傷等を負ったときの今までの治療法は、傷口をイソジン等の消毒液できれいに消毒しできるだけ乾燥をさせると言う方法でした。しかし、この湿潤療法は傷口を水で洗いラップで覆いテープ等で外気と触れないように固定すると言うものです。
傷口から出るジュクジュク液は人間の持っている自然治癒力そのもので、以前のように傷口を消毒すると細胞まで死滅してしまい治癒が遅れるのだそうです。また、乾かすと「かさぶた」が出来、完治までにずいぶん時間がかかります。「かさぶた」が気になりつい剥がしてしまい傷が新しくなったことが皆さん有るのではないでしょうか。この「湿潤療法」では「かさぶた」は出来ないそうです。例として口の中の傷はほって置いてもいつの間にか直っている。ばい菌をなくすることはあまり意味がないと言われています。革命的な治療法ですね。
湿潤療法(しつじゅんりょうほう)
創傷(特に擦過傷)や熱傷、褥瘡などの皮膚潰瘍に対し、従来のガーゼと消毒薬での治療を否定し、「消毒をしない」「乾かさない」「水道水でよく洗う」を3原則として行う治療法。閉鎖療法、潤い療法(うるおい療法)とも呼ばれる。
水道水で傷口の汚れを完全に洗い落とす。まずこの時、決して消毒を行ってはいけない。ガーゼや通常の絆創膏の使用は出血を止めるのに使用するのにとどめる。
出血が止まったら、ラップなどのドレッシング材を傷より大きめに切り、患部に当てる。(保湿効果のある白色ワセリンをラップに塗り患部に当てるとなお良い) 貼ったラップを包帯などにより固定する。 ラップは1日に一回。夏などは1日に数回取り替える。創傷周囲の汚れを清潔なガーゼかティッシュ等でぬぐい、創傷を乾燥させないよう、ラップの交換は素早く行う。
傷周囲の皮膚は、特に夏場にかぶれなどにより痒みが強くなるが、特に傷からの体液分泌が多いときに、ラップ表皮下にある皮膚かぶれへの、かゆみどめ等の薬剤の使用は控える。
上皮化が完了すれば治療完了となる。上皮化のサインとしてキズがピンク色になり新たな皮膚ができ、痛みがなくなる。かゆみが生じる場合もある。
上皮化してすぐの皮膚はしみになりやすいため、少なくとも一ヶ月は紫外線に注意する。(衣服により物理的に日光を遮断するなど)
適用すべきでない場合
次の場合は、適用してはならず、最初から医師による診断、治療を受けるべきである。
深い創傷
・出血が多く、絆創膏やガーゼ程度では止血が維持できない場合。既に創傷は軽度ではなく、ただちに受診すべきである。
・特に受傷初期において、1?2日経っても治癒の進行が無いか、遅いように見える場合。(悪化する場合も)。
・痛みが強い場合。
・創傷の深さと大きさによるが、数cm平方を超える場合は一度でも受診が望ましい。完治近くなる(ピンク色に表皮が形成され、浸潤液がなくなる)までに1週間以上掛かる場合も、同様である。(後述の形成障害のおそれもある)
(フリー百科事典ウィキペディア)引用
【町医者の独り言】と言うブログが有りました。自分で自分の傷の治療をした報告です。
町医者のひとりごと(夏井睦氏のホームページ)「新しい創傷治療」(消毒とガーゼの撲滅を目指して)
今回の検証で分かった「湿潤療法」が「消毒とガーゼ」に勝っている点は以下のとおりです。
【痛くない】
これは大きい。非常に大きいです。実際に自分がやられて、文字通り “痛感” しました。
【早く治る】
当然 これも大きいですよね。今回の検証では「湿潤療法」は4?5日、「消毒とガーゼ」は2?3週間でした。
【安心・楽チン】
「濡らしちゃダメ!」とか「毎日病院に来て消毒!」とか、ナンセンスな脅迫に縛られなくて済みます。
【やはり理にかなっている】
これは前のページで紹介しました。患者さんにとっては さほど重要で無いかも知れません。しかし、医者としては「なんとなく・・・」「みんなそうやってきたから・・・」といった理由で医療行為を行うわけにはいかないのです。
実は私自身、以前は毎日々々 イソジンで一生懸命丁寧に消毒し、過剰なまでのうやうやしさで滅菌ガーゼの交換をしていました。みんながそうしていたから、です。
偉そうなことを言える立場ではありませんが、過ちに気づいた時点でそれを認めて直したという点では、少しはマシな医者かな、と自負しております。
昔、毎日病院に呼びつけて消毒し、ガーゼを換え、不必要に痛い思いをさせ傷の治りを遅くしてしまった患者さんには本当に申し訳なく思っています。このページは、その罪滅ぼしの意味も込め、自分の身をもって啓蒙のために作成しました。命にかかわる問題ではありませんが、一日も早く間違った医療行為が根絶されることを願っています。
今回の検証で分かった「湿潤療法」が「消毒とガーゼ」に劣っている点は以下のとおりです。
【なんとなく不安】
「本当にこれでいいの?今まで熱心に消毒してたのは何だったの?」と言われることもあります。「これでいいんです。今までが間違っていたんです」としか言いようがありません。早く正しい治療が常識になるといいですね。
【臭う】
人間の分泌物は押し並べていい臭いのするものではありません。むしろ傷口が無臭である方が不自然です。気になるようでしたら水道水で水洗いして下さい。
【病院が儲からない】
毎日、なるべく長い間 通院していただいた方が病院の利益になります。
【理解していない医師もいる】
同じ病院内でも医師同士で意見が違うこともあり、患者さんを混乱させてしまうことがあります。大げさですが、「湿潤療法」を理解していない医者は「勉強していない」「自分の過ちを正せない」可能性があります。医者選びの一つの基準になるかも知れませんね。
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