すわぶる 2010:06:07:07:13:09
2010年6月 7日
先日知人からマンゴーをいただきました。種に付いた身を食べる時、妻に「すわぶらにゃいけんのー」と言いましたら、「それ何?」と言います。私の家では昔からしゃぶると吸うような時に使いました。母は理解していました。妻は「しゃぶるでいいんじゃないん」と言っていました。微妙な言葉で非常に素晴らしい表現だと思います。
すわぶる
<吸う>と<しゃぶる>が合体した言葉
中国地方や九州地方の一部で、実際に使われている方言
俳優の安倍寛さんがこの言葉を聞いて、大変気に入り女子高校生を見て「すわぶりてー!!」OLを見て「すわぶりてー!!」と連発している記事がインターネットに載っていました。
大江健三郎もこの言葉を小説の中で使っているそうです。
【すわぶる】
「男の子にとってはね」と激しく女子学生はいった。「それ〔胎児〕が殺されたり、育ちつづけたりするのは、私の下腹部の中でなのよ。私は今も、それにしつこく吸わぶられているのよ。傷みたいにそれの痕(あと)が残るのは私によ」
(「死者の奢り」1957.08・『死者の奢り・飼育』新潮文庫 p.31)
このことばはほかにも「ねずみがそれをすわぶりに来たかどうかは判らなかった」(「鳩」)などと出ています。しかし、辞書は取り上げていないものが多いようです。
『全国方言辞典』を見ると「なめる。しゃぶる」の意味で、九州や中国地方西部などで使われています。
大江氏の故郷・愛媛にもあるようです。大江氏は愛媛方言と意識せずに、このことばを使ったんじゃないかと思われます。
この「すわぶる」は、「しゃぶる」の元になったことばでしょう。なんだか感じが出ています。
(インターネット「飯間浩明ことばのページ」引用)
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