ギリシャの財政破綻 2010:05:08:08:54:03
ギリシャの財政破綻が世界を揺さぶっています。
5月7日21時40分配信 産経新聞に次の様な記事が載っていました。
ギリシャ危機 世界経済揺さぶる3つのリスク
ギリシャを震源地とする欧州の財政危機が海を越えて日米に飛び火し、世界経済を揺さぶっている。
(1)実体経済の失速
(2)金融システム不安の再燃
(3)日米国債への波及
3つのリスクが顕在化し、危機は対岸の火事ではなくなった。日米欧のG7(先進7カ国)当局2008年のリーマン・ショックを教訓に迅速な対応に向け、協議に乗り出した。
6日、ニューヨーク株式市場でダウ平均が1千ドル近く暴落した。7日の東京市場でも株価は下げ止まらず、菅直人財務相は同日中にもG7財務相による電話会談を開くことを明らかにした上で、「ギリシャに貸しているお金は少ないので、日本の金融が直接に受ける影響は極めて小さい」と指摘。
一方で、日銀も2兆円の緊急資金供給を実施し沈静化に躍起となった。
火元の欧州では7日夜(日本時間8日未明)、ブリュッセルで緊急首脳会議を開き、欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)が合意した総額1100億ユーロ(約13兆円)のギリシャ支援を決める。
だが、連鎖的な株安が広がる市場の不安を押さえ込めるかは不透明だ。
動揺が日米にも波及したのは、市場で3つのリスクが強く意識されているためだ。
一つは、欧州景気が悪化し、金融危機の病み上がりの世界経済が再び悪化しかねないリスクだ。
市場の混乱でユーロ圏の景気が停滞すれば、日米からの欧州向け輸出が落ち込む。さらに対ドルや対円で急激なユーロ安が進行しており、輸出採算が悪化し業績を直撃する。
パナソニックの河井英明役員は7日の決算会見で、「予断を許さない状況だ」と述べた。同社では対ユーロで1円の円高が進むと11億円の利益が吹き飛ぶ。
もう一つのリスクが、ジャンク(投資不適格)級に格下げされたギリシャ国債などを保有する金融機関に損失が発生し金融システム不安が再燃することだ。IMFは「デフォルト(債務不履行)はあり得ない」と強調しているが、08年の金融危機のときと同様に疑心暗鬼から信用不安が広がり、お金の流れが凍り付く可能性もある。
そして日米当局が最も恐れるリスクが、自国国債への波及だ。米国は1.5兆ドルの過去最悪の財政赤字を抱え、日本は政府の債務残高がギリシャをはるかに上回る主要国で最悪の水準にある。
現段階では欧州との比較で日米国債は安全資産と認識されているが、「投資家は高水準の公的債務に耐えられなくなっている」(米紙ウォールストリート・ジャーナル)。
国債への信用が低下して市場で売られれば、ギリシャのように長期金利が上昇し、家計や企業を利払い負担が増え、経済を冷え込ませる。
各国当局の間では、巨額の公的資金で危機を押さえ込んだリーマン・ショックを教訓に、欧州中央銀行(ECB)による国債の購入拡大や大規模な基金創設など大胆な措置が必要との危機感が高まっている。 (産経新聞)引用
日本やイギリスは独自の通貨を持っていますので、景気の良し悪しに応じて金利を上げ下げするなどの金融政策を採れます。ところが、ユーロを使っている国々は1つの国の事情だけで、金融政策を変更することができません。そこで、ユーロに加盟している国々は国の赤字を6%未満に抑えましょうという申し合わせをしていました。
ところが、この不況でユーロを使っている国々の殆どの財政赤字が目標の6%を超えていますし、ギリシャはなんと13%になって居ます。公的債務だけで、GDP比120%となっています。
このままだと雪だるま式に借金が増えるので、ギリシャは国債を発行しました。ギリシャの国債はそのままだと誰も買ってくれないので、ドイツが保障を付けています。つまりは、ギリシャが破綻したらドイツが借金を引き受けます。という、日本の「連帯保証人」のようなものです。ドイツとしても他所の国の面倒を見ている場合にではありませんが、ギリシャが破綻するとドイツにも大きな影響があるので、援助の手を差し伸べています。
他にルクセンブルクがギリシャ援助を表明しています。ルクセンブルクは、日本の島根県とほぼ同じ人口です。金融が発達していて、今回の不況に見舞われる前には、一人当たりのGDPが世界一になっていました。
また、ギリシャは巨額の借金を隠すためにアメリカの銀行とマネーゲームに走ったのではという、疑いももたれています。
ギリシャは人口1100万人程度の小さな国です。
まずギリシャの産業構造をみると、この国では最大の産業は国家そのもので、公務員の数はなんと100万人に達します。その家族を含めればギリシャ人の相当数は、国から支給される賃金で暮らしています。労働者の約5人に一人が「公務員」だそうです。その公務員の腐敗で賄賂社会とも言われています。
一方民間の分野はどうかといえば、これが健全な資本主義経済の姿とは程遠い状態です。ギリシャにはいわゆる闇経済がはびこっていて、その規模は市場全体の三分の一にも達すると言われています。闇経済の最大の問題は、相応な租税を負担しないということです。
つまりギリシャ経済は、公共分野と闇経済が大きな比重を占めていることになります。国家財政の基となる健全な租税負担層が脆弱なのです。
収入が少ないにかかわらず支出は多いつまり公務員の数が多いということがそれを物語っています。これでは財政が破綻するのも無理はないと言われています。
また、ギリシャ経済の基幹をなしている公務員層は、世界でももっともストライキが好きと言われています。ことあるごとにストライキに訴えて、自分たちの要求を政府に認めさせてきた歴史があります。今回も財政危機を乗り切るために、ギリシャ政府は公務員層に対して一定の犠牲を求めましたが、彼らは早速ストライキを起こして政府に譲歩を迫っています。国の財政危機よりも、自分たちの目先の生活が大事なのだとと言う行動に見られています。
また、ギリシャといえば2004年アテネで、 夏のオリンピックが開催された国です。このオリンピック開催も原因の一つと言われています。
アテネ五輪の開催費が 60億ユーロに膨らみました。これは約8100億円で、当初の計画の30%を超える額となりました。
大まかな内容は関連施設の建築費、 警官や医者への特別給与、テロ対策などです。 例えばこのテロ対策費、警備員や保険に使われたわけですが、 テロ対策費用だけでも、 欧米への放映権料が吹っ飛んでしまう金額だったそうです。
【他山の石】では有りません。
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