重粒子線治療 2010:04:15:07:33:58

2010年4月15日

 昨日(4月14日)、元広島市助役・元福岡市副市長の山野宏氏を講師に「重粒子線治療」の研修会を行ないました。重粒子線治療施設は、千葉県・兵庫県・群馬県(今年度開設)に有りました。九州鳥栖に出来る施設は日本で4番目の施設となります。山野宏氏はこの施設の開設に最初から係わられ現在は代表取締役社長となっておられます。

 粒子線はピンポイントで細胞を壊滅するのでx線と比べて他の臓器に影響を与えないので、治療後人体への負担が少なく、治療後歩いて帰れると言われています。また、治療時間は30分程度だそうです。

効果が高いと言われる粒子線ですが、陽子線治療と重粒子線治療の比較

陽子線治療
 線量の集中性 通常の光子線より線量の集中性が格段に優れているので、周囲の正常臓器に対する障害を著しく軽減できる。
 細胞の殺傷効果                       通常の光子線と同じ
 酸素濃度の低いがんに対する効果    通常の光子線と同じ
 放射線抵抗性がんに対する効果      通常の光子線と同じ
 分割照射回数                          通常の光子線より少ない

重粒子線治療
 線量の集中性                          陽子線よりも更に集中性が優れている
 細胞の殺傷効果                        陽子線より2ー3倍の効果
酸素濃度の低いがんに対する効果     通常の光子線より効果がある
放射線抵抗性がんに対する効果       通常の光子線より効果がある
分割照射回数                           陽子線より更に少ない

今回の研修会の講義内容

理 念 1
■ 今やがんは日本人の死亡原因の第1位で、三人に一人はがんが原因で亡くなられている。また、生涯のうちで、男性の二人に一人、女性の三人に一人はがんにかかる時代となっており、がん撲滅は、私たちの生活に密着した大きな課題となっている。

■ 特に、佐賀県では、肝臓がんが長年全国1位にあるなど、がんの死亡率は全国高位にあり、沖縄県を除く九州・山口の各県もがんの死亡率が全国平均より高く、効果的ながん対策が求められている。

■ 私たちは、ここ九州の地に、しかも新幹線、高速道路がクロスする交通の要衝である佐賀県鳥栖の地に、九州で初めて、また民間では日本で初めて、最先端の放射線治療である重粒子線(炭素線)がん治療施設を開設する。

理 念 2

■ 重粒子線がん治療は、がん病巣に高い線量を集中することができ、また、がんの殺傷効果も高く、「痛みがなく、患者の負担が軽い」「短期間での治療が可能」「骨軟部腫瘍など他の治療法では難しい難治性がんの治療が可能」という優れた特徴を有する。
■ この重粒子線がん治療施設を開設することにより、九州のがん患者さんが身近な所で重粒子線がん治療を受けられるようになるのみならず、さらに全国、海外のがん患者さんにも最先端のがん治療の機会を提供し、九州の地域医療、地域福祉の向上、ひいては九州全体の地域振興に貢献する。
■ また、民間では日本初めての重粒子線がん治療施設の建設及び運営となることから、新たな事業モデルを構築し、それを広く知らしめることにより、粒子線がん治療施設、特に重粒子線がん治療施設の普及に貢献する。

特長
・産学官の共同プロジェクト
・九州では初めての重粒子線がん治療施設
・民間主体としては日本初の重粒子線がん治療施設

スケジュール
 2013年(平成25年)春オープン予定

佐賀県鳥栖市 九州新幹線「新鳥栖駅」前

初期投資額150億円程度

■対象患者
・他医療機関からの紹介で、主治医による確定診断がついている。
・主治医により重粒子線治療が適していると判断され、重粒子線治療による治癒・回復が見込める。
・がんであることを認知しており、重粒子線治療を受けることに同意している。
■適応条件
・対象部位に対する放射線治療の既往がないこと。
・病理診断がついていること。
・評価可能な病変を有していること。
・原則として腫瘍の最大径が15cmを超えないこと。
・広範な転移がないこと。

■対象部位(放射線医学総合研究所で行われている部位を主な対象とする。)
  臨床試験中の対象部位
 脳腫瘍・頭蓋底腫瘍・眼腫瘍・子宮がん・肺がん・膵臓がん・直腸がん・骨肉腫
 軟部組織腫瘍・中枢神経腫瘍・頭頚部 がん・食道がん・肝臓


 



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