しつけ 2009:11:20:06:48:22
2009年11月20日
11月16日(月)中国新聞夕刊 1面「でるた」に載っていた記事です。躾について書いてありました。
とても良い記事だと思ったので掲載しました。
ある宴席で「失礼ですが、お坊さんですか」と隣の老紳士から声を掛けられた。初対面の人だ。確かに頭は丸刈りだが、その時は背広姿。訳を尋ねると「最近の若い人にしては食事の仕方がきれいなもので」と。はしの上げ下げ、茶わんの持ち方を褒めていただいた。特に意識したことはない。ましてや、食ベ方がきれいだなどと思ったこともなかった。
子どものころの食事の情景を思い出す。そういえば、あのころは食事の時間が一日で一番嫌いな時間だった。はしや茶わんの持ち方が悪い、姿勢が悪い。食事のたびに父親にしかられた。
おかけで一流料亭の食事作法などは分からないが、日々の食事のマナーくらいは多少なりとも身に付いたと思う。
よそさまで恥をかかぬようにとの、親の愛情ゆえの厳しさだったのだと今では懐かしい。
その男性との会話以来、それまで気に留めたこともなかった他人の食事の様子が気になり始めた。
茶わんをわしづかみに持つ人、はしではなくスプーンでご飯を食べる人。片ひざを立てて、左手にたばこ、右手ではしを持つ母親には驚いた。その隣にはまだ幼い少女。この子は『一体どんな大人に育つのだろう、と老婆心ながら心配になる。
「しつけ」という字は「躾」と書く。しつけによって美しい身ぶりができるようになるということだろうか。
私はこれから子どもを育てていく身。親から教わったことを、しっかりと伝えてやろうと思う。
鈴木宏章(薬師寺副住職=福山市)
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