脱官僚 2009:09:20:06:56:05

2009年9月20日

 鳩山新政権が成立し、大臣の皆様全員が「脱官僚依存」をお題目のように言っておられます。9月18日・19日の中国新聞に朝刊に評論家の「立花 隆」氏が【筋違いの「脱官僚依存」・「日本小沢大国化の恐れ」】という記事を書かれていました。

 大臣になった人が、新政権になって2週間にもなるのに理念(マニュフェストに書いてあると言う)だけで、具体的な話は出来ていない。(大臣になったらすぐに事務方と打ち合わせをして、中身のあることをしゃべるべきである)しかし、今回の新政権では、役人と事前打ち合わせをしたら、マインドコントロール下に置かれてしまうと言う心配から一切無しという低レベルなこととなっています。官僚は行政のプロであり、行政組織とは官僚の集まりそのものです。内閣総理大臣は、行政組織の長なのです。官僚の長が脱官僚を言うのは間違いです。敵に回すのでなく、公僕として使いこなすことを最優先するべきだ。と言っておられます。マニュフェストだけに頼っている現在では、「党官僚」を作ってしまう結果になってしまう。その党官僚への過度の依存は、かってのスターリンのような党書記長職の権力を一方的に高めてしまう恐れがある。と書いておられます。

 また、19日の朝刊記事下では、このスターリンの書記長が民主党の場合、幹事長と呼ばれているのではないか。かっての田中角栄氏は、キングメーカーとして自民党の総裁総理大臣の首を次から次へと挿げ替えました。次の参議院選で小沢氏の勢力が増えると田中氏を超える事になりそうだ。と警告されています。

 官僚を使いこなすと言えば、一番うまかったのがやはり「田中角栄」氏だと言われています。使いこなして「日本列島改造論」を仕上げました。それぞれの官僚組織の中(各省庁)に、部下議員を送り込みコントロールしました。結果としてその議員が「族議員」となりました。その後の政治については皆さんご存知の通りとなって現在に至って居るのではないでしょうか。

 行政についていえば、一番専門的に研究をしているのが官僚です。税金を使って若い頃から鍛え上げられ、専門の調査機関を持ち、過去からの資料を全て持っています。この官僚抜きで行政は語れないし、執行できないのではないかと私は思っています。

 地方議員になって10年が経ちます。議員に成り立ては守備範囲の広さに驚いたのを覚えています。人間が生まれてから死ぬまでの全てのことが係わってきます。それを役人さんは専門的に調査研究して行政を行なっています。勝てるはずが無いと思いました。しかし、十年議員をさせてもらって役人と話すことが出来るようになりました。また、知恵を出してくれる役人も何人か見つけることも出来ました。

 「脱官僚」言うと流行り言葉みたいな綺麗な言葉に聞こえますが、官僚を使いこなし、最後の決断を責任を持って政治家がするという形にならなくては、国民益にならないのではないかと思います。 

評論家 立花 隆

 1940年長崎市生まれ 東京大学卒業 文芸春秋などを経て現在フリー 

 東京大学大学院情報学環特任教授
 立教大学21世紀社会デザイン研究科特任教授
 自然科学研究機構経営協議会委員
 大阪大学レーザーエネルギー学研究センター参与
 文科省次世代スーパーコンピューター開発利用アドバイザーリーボード委員
 大宅壮一ノンフィクション賞選考委員
 講談社ノンフィクション賞選考委員
 全国出版協会理事
 BPO放送倫理検証委員

 著書  「田中角栄研究」・「宇宙からの帰還」・「天皇と東大」等多数

 



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