インフルエンザ万能薬 2009:05:28:06:44:09

2009年5月28日

 新型インフルエンザが日本に入ってきて、関西地方を中心に混乱させています。現在、抗インフルエンザ薬として、一般的なタミフル・リレンザは、ウイルスの増殖を抑えるという性質の薬ですので、発症後48時間以内に服用しないと効果がないと言われています。インフルエンザウイルスは8本のRNA(リボ核酸)を遺伝子として持っていいますが、自己増殖する能力はありません。人間や豚など宿主細胞のシステムを利用して遺伝子を複製し、増殖するときに働くのが、RNAポリメラーゼです。

 RNAポリメラーゼは、3つの部品(サブユニット)が結合した状態でしか機能しません。横浜市立大大学院の朴三用(パクサンヨン)准教授は筑波大大学院の永田恭介教授らと共同で、結合部の構造解明に取り組んできました。2カ所の結合部のうち1カ所の構造は昨年7月に英科学誌「ネイチャー」に発表しました。今回はもう1カ所の構造をX線結晶構造解析によって解明しました。

  朴准教授は「ウイルスが変異しても、RNAポリメラーゼはほとんど変異しない。その働きを阻害する薬が開発されれば、どのタイプのインフルエンザに対しても効果が期待できるはずだ」と話しています。

 その研究を基にして、どんなタイプのインフルエンザにも効く「万能型」のインフルエンザ治療薬開発を目指して、高度400キロでの宇宙実験が始まります。
 国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」で、7月から予定されているタンパク質結晶生成実験があります。その一つとして、インフルエンザウイルスを構成するタンパク質を、無重力状態の宇宙空間で結晶化し、創薬につなげる構想の実験が始まります。

 また、富山化学工業株式会社は、カナダのトロントで開催(2000年9月17日?20日)された第40回インターサイエンス(世界的規模の学会で米国微生物学会主催、通称ICAAC)において抗インフルエンザウイルス活性を有する全く新しい作用をもった抗ウイルス剤(開発番号:「T-705」)を発見した事を発表し、多くの参加者の注目を集めました。

 それが『T-705』で、タミフルとは違うメカニズムの新薬として開発され注目されています。

 T-705は、数々の実験や研究を繰り返し、一般的な季節性のインフルエンザの薬として、富山化学事業開発部担当部長 古田要介さんらによって1999年にその原型が開発されました。

 現在、抗インフルエンザ薬として、一般的なタミフルは、ウイルスの増殖を抑えるという性質の薬ですので、発症後48時間以内に服用しないと効果がないと言われていますが、T-705は増殖したウイルス自体を攻撃するので、服用する時間が遅くても効果が期待できるという実験結果が出ています。

 2003年、アメリカ国立衛生研究所が行った、世界的な抗ウイルス薬の検証の結果、T-705がH5N1ウイルス(鳥インフルエンザ)に非常に効果的という実験結果がでました。現在、実用化に向け臨床実験中です。

 今回、鳥インフルエンザウイルスを使って、実験検証をおこなったところ、T-705は感染したインフルエンザウイルスを見事に死滅させたという事です。

 現在治験段階のこの新薬ですが、一日も早く認可され、実用化されることが期待されています。

 以上、インフルエンザの万能薬が研究され、実用化に向けて着々と準備されています。以前にも書きましたが、人類とウイルスの生き残りをかけた競走ですね。

 



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