原爆症認定申請 2009:04:25:06:07:04

2009年4月25日

 先日、ある方から、原爆症認定申請についての相談がありました。原爆症認定申請は、医者の証明を付けて広島市(区役所・本庁)に申請し、広島市が国(厚生労働省)に申請します。調べてみますと、申請してから現在は、少なくとも1年かかるそうです。病気になったから申請して、1年もかかって許可が下りるという現実にびっくりしました。許可が下りると、申請した次の月にさかのぼって支払われるそうです。もしも、申請者に許可が下りるまでに不幸があった場合は、申請が無かったことになるそうです。年金問題等、厚生労働省は、おかしな役所だと思っていましたが、このことを知って怒りさえ感じました。国民目線で行政を行っていないと言うことがはっきりとしました。広島市も、このことについて、厚生労働省に対して、早くしてくれと要求はしているそうですが、現実は変わっていません。この現実に対して私自身は、国会議員さんを通じて、なんとか変わるよう努力して行こうと思っています。

原爆症認定申請についての基準を下記に書いておきます。

原爆症認定申請
原爆症認定申請=認定被爆者
 ガンや心筋梗塞、甲状腺機能異常などの治療中の人
 ケロイドや爆風で身体に入った異物が体内に入っている人
 「原爆症認定」制度は、国=厚生労働省が被爆者施策の根幹にしている制度です。このため、被爆者健康手帳やほかの被爆者の手当は、東京都など都道府県か広島・長崎市が審査しますが、「原爆症認定」だけは、厚生労働大臣が「疾病・障害認定審査会原子爆弾被爆者医療分科会」の意見を聞いて審査します。
  2003年から始まった原爆症認定集団訴訟で敗訴しつづけている厚生労働省は、司法、立法に働きかけた運動と国民世論に押されて、2008年4月から原爆症認定の「起因性」の判断に「新しい審査の方針」を使った審査を開始しました。


厚生労働省が原爆症認定で求めている2つの要件
起因性
 (1)原爆放射線が原因になったと病気にかかっている。
 (2)被爆のケロイドのために動作に障害がある。
 (3)爆風のため体内に入ったガラスなどの異物が残っていて障害がある。
 (4)原爆白内障と診断され手術を予定している。
要医療性
 起因性が上記の(1) その病気の治療や経過観察が申請時も続いている人
 起因性が上記の(2)(3)(4) 手術を予定していて、申請時に手術をしていない人(「認定」するという通知が届いてから手術を受けないと、認定されない場合があります)

「起因性」の判断に使われている「新しい審査の方針
「積極的認定」被爆者の被爆状況
 (1)被爆地点が爆心地より約3.5キロメートル以内である者
 (2)原爆投下より約100時間以内に爆心地から約2キロメートル内に入市した者
 (3)原爆投下より約100時間経過後から、原爆投下より約2週間以内の期間に、爆心地から約2キロメートルの地点に1週間程度以上滞在した者
「積極的認定」申請疾病
 (1)悪性腫瘍(固形ガンなど)
 (2)白血病
 (3)副甲状腺機能亢進症(高カルシウム血症)
 (4)放射線白内障(加齢性白内障を除く)
 (5)放射線起因性が認められる心筋梗塞

「総合判定」
 「積極的認定」に当てはまらない場合は、被曝線量、既往歴、環境因子、生活 歴などを総合的に勘案して判断する。
 ガンなど悪性新生物で申請する場合は、手術や化学療法などの治療がおわって、5年以上過ぎている場合は、経過観察を受けていても「要医療性」がないとして認定されません。裁判を起こした原告では、手術後の厳しい後遺症がある人と、再発を繰り返したガンの経過観察がつづいている人が、地裁と高裁の判決で勝利して認定されています。
 身体のなかに原爆の爆風で刺さったガラス片などの異物が残っている、ケロイド、原爆白内障で申請する人は、手術を予定している段階で申請し、「手術すれば認定する」との通知が来た後に手術を受けないと「要医療性」がないとされて、「認定」されません。
 「認定被爆者」の認定された病気やケガ、ケロイドの治療は、全額国が負担しますので、健康保険証を使わなくても、「認定指定医療機関」にかかると健康保険の使える範囲の医療費は無料になります。しかし、「認定被爆者」として無料になる医療費は、認定された病気の治療費だけです。認定された病気の費用でも、健康保険の使えない差額ベッド代などは自己負担になります。「認定被爆者」か「認定被爆者」を扶養する人は、所得税・住民税の特別障害者控除がうけられます。

医療特別手当/毎月137,430円
 厚生大臣が原爆症と認定した認定被爆者だけが受けられます。
 認定申請の審査には、通常で1年程度の期間がかかっていますが、認定申請のときに医療特別手当の申請書を一緒に出せば、認定された場合、原爆症の認定申請した月の翌月にさかのぼって支給されます。
 医療特別手当の条件のひとつに「要医療性」が求められますので、医療特別手当を受けている人は、3年ごとに病気やケロイドなどの治療が続いていたり、経過観察を受けているかどうか、「医療特別手当健康状況届」の提出を求められます。この時点で、「治療や経過観察が必要ない」と診断された人は特別手当(下記)に切り替えになります。
 特別手当、健康管理手当、保健手当と一緒には受給できません。

特別手当/毎月50,750円
 特別手当は、医療特別手当を受けていた認定被爆者が、認定された病気の治療や経過観察が必要なくなったときに切り替えになる手当です。
 医療特別手当、健康管理手当、保健手当と一緒には受給できません。

 



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